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子宮体癌術後日記  **ぴょんぴょんがキャンサー・サバイバーになるまで**

親しい人とのお別れ、新たな病気の発覚、癌再発??etc。いろいろあった子宮体癌術後5年間の全記録です。

人生の光と影

わたくしが以前勤めていた会社にAさんという10歳くらい年上の男性がいた。
お互いに転職して、もう会うこともないのかなと思っていたある日、共通の友人からAさんの消息を聞かされた。

友「Aさん、大変だったみたいだよ」

ぴ「どうしたの?」

友「奥さん、亡くなったんだって」

ぴ「ええ、何で? だって、まだ若いでしょう?」

友「うん、30歳ちょっとだったらしい。子宮がんだったんだって」

ぴ「あら~」

友「主婦だったので、会社みたいに半強制的な検診を受ける機会がないでしょう。ずっと具合悪いなと思っていたらしいんだけれど、子供さんも小さかったのでなかなか病院に行けなくて、病気がわかった時には手遅れだったんだって」

ぴ「ふぅん。Aさんも大変だろうけれど、子供さんもかわいそうだねぇ」

友「奥さんが入院中、Aさんが人間ドック受けたらしいの。奥さんにもしものことがあったら、子供には父親の自分しかいなくなってしまうから、健康が気になったんでしょうね」

ぴ「そうだよねぇ」

友「そしたら、Aさんに胃がんが見つかったんだって」

ぴ「ええっ! だって、彼だって30ちょいくらいでしょう?」

友「うん。初期の胃がんだったらしいんだけれど、もしも自分が死んだら子供だけが残されちゃうって、Aさん即座に手術したんだって。しばらく、奥さんと一緒に入院していたらしいよ」

ぴ「うはぁ。で、どうなったの?」

友「Aさんは治療うまく行って退院したって。奥さんはダメだった。亡くなった」

その話を聞いた時、人生には小説より小説らしいことも起こるんだなぁと思った。
そして、Aさんのお子さんたちに思いを巡らせた。
わたくし自身もがんで母親を亡くしていて、若い時に母親を亡くすとどういうところに不都合があるか、よく知っていたから。

その話を聞いてから1~2年後、電車に乗っていたわたくしは、男性から声をかけられた。

男「ぴょんぴょん?」

ぴ「あ…。Aさん?」

男「うん、久しぶりだね。元気?」

ぴ「はい。Aさん、大変だったと伺いました。身体の調子はどうですか?」

男「僕の方は大丈夫…」

Aさんは自分の体調や家族のことについて、それ以上話したくないみたいだったので、話題を変えた。
胃がんの手術をしたと聞いたけれど、肌の色艶は良かったし、不自然に痩せてもいなかったので、体調は悪くないんだろうなと思った記憶がある。
今はどういう仕事をしているかなどの近況を話しているうちに、わたくしの降りる駅が来て、「さようなら」と言ったら、彼は本当に楽しそうに、くったくない笑顔を見せた。

その後、わたくし自身が子宮がんになり、時々、Aさんのことを思い出す。
最後に会ってから15年以上。
まったくお付き合いはないけれど、今どうされているのかなとか、お子さんたち、大きくなっただろうとか。

去年だったかな、夫が図書館から借りてきた本を読みながら「この本は面白い。これを書いた人はすごい」と言っていた。
そして、「ぴょんぴょん、Aさんって知ってる?」と聞かれた。

ぴ「うん、知ってるよ。昔、同じ会社だった」

夫が「面白い」と言っていた本の著者はAさんだった。
著者のプロフィールを見て、わたくしと同じ会社にいた人だと気づいたらしい。
著書は、がんや病気とはまったく関係ない、地球環境デザインについての内容で、Aさんは今、そういう仕事に就いているようだ。

わたくしの知っているAさんと、環境問題というのがどうも結びつかなかったけれど、人間は変わるものだし、今までいろいろと大変なこともあっただろう。
それで「地球」とか「生きる」という方に興味が行ったのかなぁと漠然と思った。

そして、妻のがん死と自身の胃がんを乗り越えて(この言葉が適当かどうかはわからないけれど…)、活躍されている様子を垣間見て、わたくしも頑張るぞ~と思ったものだ。

昨夜、テレビを見ていたら、「なんか見たことあるなぁ」という顔が映り、名前の字幕を見て、ああ、と思った。

Aさん、お元気そうで何よりです。
仕事も順調そう。
何も知らない視聴者から見たら、あなたはごく普通の解説者、事業に成功した一個人なのかもしれないけれど、わたくしはここまでのあなたの道のりに思いを馳せてしまう。
人知れず、かなり努力したでしょう。
体調だって、いつも絶好調と言うわけじゃなかっただろうし。
「やればできる」ということを示されたようで、励みになります。
ぴょんぴょんも、さらに頑張るじょ~。(他人から言われたくはありません)

そうそう、Aさん。着ていたスーツ、カッコ良かったよ!
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  1. 2004/02/03(火) 23:30:00|
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